代表的なよくある症状と
考えられる病気
8.ものがゆがんで見える
「ものがゆがんで見える」、「直線が波打って見える」のような症状を「変視症」といいます。診察では格子状の専用の検査表を使ってゆがみ具合を判定しますが、ご自宅でも格子状の物(障子の桟やノート・カレンダーなど印刷物のマス目、方眼紙など)を用いてセルフチェックすることが可能です。
見ようとする真ん中の部分に変視がある場合、網膜中心の黄斑部の病気が疑われますので眼底検査が必要です。特に近赤外線を用いたOCT検査による眼底撮影は、網膜の詳細な情報が得られるので診断に有用です。検査結果を患者様と一緒にみながら、丁寧にわかりやすく説明いたします。
考えられる病気
- 黄斑上膜
- 加齢黄斑変性
- 黄斑円孔
- 中心性網脈絡膜症
主な検査内容
- 視力検査
- 眼圧測定
- アムスラーチャート
- 細隙灯顕微鏡検査
- 眼底検査(OCT検査)
9.ものが飛んで見える
「虫やゴミみたいなものが飛んで見える」、「糸くずが浮いて見える」など目の前に半透明もしくは黒いような物が動いて見える症状を「飛蚊症」といいます。目の中の硝子体という透明なゼリー状の組織に濁りが起きたための症状です。多くは年齢的変化で生じた濁りが原因ですが、網膜剥離、眼底出血、ぶどう膜炎など詳しい検査や治療が必要な病気が原因のこともあります。
特に網膜剥離はすみやかに治療が必要で、放置すると失明の可能性もありますので、急に起きた飛蚊症は眼底検査を受けていただくことが大切です。また、飛蚊症にともなって網膜刺激症状である光視症(視野の一部に光が見える症状)がでることもあります。
考えられる病気
- 後部硝子体剥離
- 網膜裂孔、網膜円孔
- 網膜剥離
- 網膜・硝子体出血
- ぶどう膜炎
主な検査内容
- 視力検査
- 眼圧測定
- 細隙灯顕微鏡検査
- 眼底検査(OCT検査)
10.目が痛い
「ゴロゴロする」、「チクチクする」、「ズキズキする」、「眼の奥が痛い」など、眼の痛みの症状は様々です。ドライアイ、角膜・結膜の異物、さかさまつ毛、ものもらい、疲れ目などいろいろな病気が考えられますが、どんなふうにどの場所が痛いのか、詳しい症状をお伝えいただくと診断の際の重要な情報になります。
コンタクトレンズを使っていて眼が開けられないほど痛くなった、植木の枝が眼に当たった場合などは、角膜の細菌感染も疑われますので早急に診察をお受け下さい。
考えられる病気
主な検査内容
- 細隙灯顕微鏡検査
- 角結膜生体染色、涙液層破壊時間(BUT)検査
11.色覚異常を指摘された・色覚検査が必要といわれた
色覚異常とは色の判別がつきにくい状態で、先天性と後天性の色覚異常があります。検査に来られる方は多くの場合、学校検診で指摘される先天性色覚異常です。日本人では男性の20人に1人、女性では500人に1人の割合で色覚異常の人がいるといわれ、まれなことではありません。
一時中止になっていた時期がありましたが、現在は小学校と中学校でそれぞれ一度ずつ希望者に色覚検査を実施しています。学校では石原色覚検査表Ⅱ(国際版14表)を用いてスクリーニング検査を行いますが、色覚異常の程度は様々で、疑わしい方には眼科への受診がすすめられています。
当院では石原色覚検査表Ⅱ(国際版38表)、パネルD-15(色相配列検査)を使用し、色覚異常の有無と程度を診断します。より正確な病型・程度判定が必要な場合には、連携する色覚専門外来をご紹介させて頂くこともありますが、当院では心配ごとや日常生活についての細かなアドバイスなどをさせていただきます。
現在ではだいぶ緩和されましたが色覚異常がある場合、就労に制限がある職業(パイロット、鉄道運転士、船舶航海士など)がありますので、検診で指摘された方、まわりから色彩の使い方の違いなどを指摘された方など、気になる症状がある場合にはご相談ください。
考えられる病気
- 先天性色覚異常
主な検査内容
- 視力検査
- 細隙灯顕微鏡検査
- 色覚検査
- 眼底検査
12.他の科の病気があって眼科の受診をすすめられた
「目は心の窓」といわれますが、目は体の窓でもあります。たまたま他の症状で受診された方に、内科的な病気や脳の病気が見つかることもあります。眼底にはたくさんの細い血管が存在し、眼底検査で血管の状態を見ることで全身状態も推測されます。
全身の病気と眼の関係で一番有名で重要な病気は糖尿病です。血糖が高い状態が長く続くと糖尿病網膜症を発症し、網膜に出血や浮腫(むくみ)を発症します。病状が重くなると硝子体出血や網膜剥離なども生じてきます。近年の日本の中途失明原因の2位または3位(変動あり)を占めています。
初期の糖尿病網膜症では自覚症状がないことが多いので、糖尿病と診断を受けている方は定期的な眼底検査がとても大切です。
また、膠原病などで使われているステロイド薬、結核の治療薬、一部抗がん剤などは眼に副作用がでることもありますので、眼科受診をすすめられた方はぜひご相談ください。
考えられる病気
- 糖尿病網膜症
- 高血圧性眼底
- 網膜動脈硬化症
- ステロイド白内障・ステロイド緑内障
- 抗結核薬による中毒性視神経炎
- 抗がん剤による涙道閉塞症
主な検査内容
- 視力検査
- 眼圧測定
- 細隙灯顕微鏡検査
- 眼底検査(OCT検査)
- 涙道通水テスト
13.目をぶつけた・目に異物が入った(けが)
けがの場合は後遺症の予防のためにも早期に診察を受けていただくことが大切です。
眼球は柔らかい球体のため、強くぶつけると変形してダメージが生じます。虹彩(瞳の部分)の炎症や出血をおこしたり、眼底に出血や網膜の浮腫がでたりすることがあります。眼底検査が必要になりますので、ご自身での運転ではなくご来院ください。
目に洗剤などの薬液などが入った場合は、まず流水でよく目を洗って受診してください。酸性の薬液よりもアルカリ性の薬液の方が組織へのダメージが強くなります。薬の名前、成分がわかるものをお持ちいただくと診察の際に役立ちます。
目の異物の中でも特に鉄粉異物は小さいものでも炎症が強くなります。放っておくと異物の周りに錆が出てきて炎症が長引いたり濁りが残り、眼の中央に近いとその後の視力にも影響します。鉄紛はお仕事中に入る方が多いので、ぜひ予防のために保護眼鏡をお使い下さい。
考えられる病気
- 打撲による虹彩炎、網膜振盪症、眼底出血、眼窩底骨折
- 異物・薬液による角膜・結膜上皮障害
主な検査内容
- 視力検査
- 角結膜生体染色検査
- 細隙灯顕微鏡検査
- 眼圧測定
- 眼底検査(OCT検査)
14.眼鏡をつくりたい
「眼鏡が合わなくなった」という場合、ご自身の屈折(近視・遠視・乱視)の度数が変わり眼鏡が合わなくなってきている、老眼が進んできて近くが合わなくなっている、使用する場面に必要な度数になっていない、病気により見えにくくなっているなど原因は様々です。
当院ではまず病気がないことを確認したうえで、眼鏡の使用状況を十分におうかがいし、医師が装用練習を行って眼鏡処方箋を発行いたします。お持ちの眼鏡が現在あっているかどうかもお調べできますので、車の免許更新を控えている方、眼鏡での見え方が以前と変わったと感じる方はご相談下さい。
15.涙目
涙は上のまぶたの耳寄りにある涙腺によって作られます。目の表面を潤したのち、目頭のところにある上下2つの涙点という小さな穴から上下の涙小管を通って鼻の奥の方の鼻涙管に流れていきます。涙を吸い込む機能が落ちたり、涙道自体が細くなると涙目の症状が出てきます。そのため年齢とともに涙目の症状は出やすくなり、特に冬場は冷たい風の刺激で涙の量が増えて症状が強くなる方が多いようです。特に刺激もないのにいつも涙目になってしまう方は、目の周りがただれたり、涙道に細菌感染を起こしてしまう場合もあります。
通水テストによって涙の流れ方を確認し、軽症の方の場合は涙の分泌を抑える点眼薬を処方いたします。症状が重い方の場合には外科的な治療で涙の流れ方を改善させる必要があります。
また生後間もない赤ちゃんにも涙目の症状がみられる場合があります。同じ目にだけ結膜炎を繰り返す場合、涙の通り道(鼻涙管)の末端が膜で閉じている先天鼻涙管閉塞が疑われます。結膜炎の治療をしながら生後1歳くらいまでに自然に膜が開放して軽快することもありますが、長引く場合にはブジ―という細い針金を使った開放術が必要となることもあります。
また胃がん、大腸がん、乳がんなどに使用される抗がん剤の副作用で涙道閉塞をおこすことがあります。抗がん剤を使用し始めて、涙目の症状が出るようになったら早めに眼科を受診して下さい。
考えられる病気
- 鼻涙管狭窄
- 鼻涙管閉塞
- 結膜弛緩症
- 眼瞼内反症・眼瞼外反症
- 先天鼻涙管閉塞
主な検査内容
- 細隙灯顕微鏡検査
- 涙液分泌機能検査
- 涙管通水検査